2021年9月2日木曜日

「大正天皇をシナリオに深く関与させよう」とした時点で「右翼・左翼両方に配慮する」ことはほぼ不可能だから、最初から天皇は出すべきじゃなかったんだよ…

第七話のどこが問題かって? 大正天皇を救えと強要されることだよ…


何度も書いているが、『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs.the Soulless Army)』(プレイステーション2)の第七話は「敵に呪われて床に臥せっている、大正天皇としか思えない『やんごとなき身分の重要な御方』を救うように強要される」ストーリーだ。
これのどこが問題かって? 「反天皇制の人の怒りを買うこと」、この一言に尽きるだろう。

右翼左翼両方に配慮することはほとんど不可能だよ…、天皇をシナリオに絡ませた時点で…

このゲームのストーリーは、全体的に「右翼や天皇好きには配慮しているが、反天皇制の人には全く配慮していない」のは明らかである。第七話以外でも「天皇に逆らう者たちを倒す」イベントがあるからだ。
そもそも、大正天皇その人(ゲーム上では天皇とは言わずにぼかしているが)をシナリオに深く絡ませてしまったこと自体が問題だよ。天皇をゲームのストーリーに深く関与させた時点で「右翼・左翼両方に配慮する」ことはほぼ不可能だからだ。
大河ドラマや歴史もの小説などでは近代の天皇(明治から昭和まで)が出てくるものがあり、これらも天皇の描き方によっては右翼か左翼の怒りを買うことがある。両方に配慮するとなると、「天皇は出すとしてもストーリーには深く関わらないようにすること」ぐらいしか無いだろう。天皇を「主人公が護るべき人」として描くと左翼の怒りを買いやすく、「主人公が天皇を倒す話」は右翼の怒りを買ってしまう。
そう考えると、やはりこのゲームを作る時に「大正天皇の存在を深く関与させたシナリオを作ろう」と考えた時点で手遅れだった、としか言えない。天皇をゲームのシナリオに深く関与させるとなると、「右翼を怒らせないように天皇を護る話にする(その代わり左翼の怒りを買う)」(このゲームの話はこちら)か、「左翼を怒らせないように天皇を倒す話にする(その代わり右翼の怒りを買う)」のどちらかを選ぶしかない。また、シナリオ分岐でどちらでも可能にすると、右翼・左翼両方の怒りを買ってしまう…。両者を怒らせないシナリオを作ることはほぼ不可能だ。
なので、やはり「大正天皇を出すのは最初から止めておけば良かったのに…」というのが私が出した結論である。