2021年7月29日木曜日

「今のところ『葛葉ライドウ(Raidou Kuzunoha)』シリーズが出せなくなっているのは嫌韓・嫌中のバカウヨどもが増えたから」説をさらに掘り下げて考えてみよう

はてなブログで書いた記事より

昨日、はてなブログの「悪魔ハンター桐嶋ローダVS八咫烏」でこんな記事を書いた。


この中から引用しよう。
ライドウファンの中には、「長いことシリーズが出てないのは、大正ロマン(主に韓国では「日本がアジアを植民地にしていた時代を美化するもの」と捉えられる)や大日本帝国時代の日本を嫌う中韓に配慮しているから」という憶測を立てている者も居るのだろう。私もその説は一理あると思う。

もう一節引用する。 

私は「『ライドウ(Raidou)』シリーズが出せないのは、そんな嫌韓・嫌中・歴史修正(改竄)主義のバカウヨどもが増えたことが原因である」説を唱えよう。

つまり、「現時点で『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)と続編及び『葛葉ライドウ(Raidou Kuzunoha)』シリーズが 復活出来ないでいるのは、何かと韓国と中国を敵視する嫌韓・嫌中・歴史修正主義のバカウヨ(バカな右翼)どもが日本に増えたためであり、大正ロマンものを嫌う韓国人・中国人のせいでは無い」という一種の仮説を書いた。

これについてもう少し掘り下げよう。

バカウヨどもの吐く言葉は鳴海のセリフにそっくりである

はてなブログの記事で書いたように、「今のところ『ライドウ(Raidou)』シリーズが停止しているのは大正ロマンや軍国主義時代の日本を嫌う中韓に配慮したため」という説は一理あると考えているが、これが本当だとしてもその原因は中韓では無く「日本の歴史を捏造し美化する日本のバカウヨども」にある。そんなバカウヨどもに限って、『超力兵団(Soulless Army)』の第拾話で鳴海が言う「…馬鹿な、何千年もの昔の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!」にそっくりな言葉を吐くわけだが…。つまり「大日本帝国時代のことなど今の俺たちには関係無いし、お前たち中韓の人間にも関係ないから、たかが大正ロマンゲームごときにいちいち騒ぐな」と。こういうバカウヨは鳴海のセリフに共感しそうなのが怖ろしくて草も生えない。
こんな「中韓に対して傲慢な態度を取るバカウヨども」が増えたからこそ、アトラスやセガ(親会社)も「こんな嫌韓・嫌中のバカウヨの増えた今の時代にライドウを再び世に出すのは可哀そうだ…。だからもう出すわけには行かない」と思っているのかも知れないじゃないか? それを無視して「大正ロマンや大日本帝国を燃やそうとする中韓が悪い!」ばかり言っているようでは、二度とライドウは復活出来ないだろう(私はどうあっても復活すべきじゃないと思うが。天皇を救う右翼ゲームだし)。

世界市場・アジア市場も考慮しなければならない今の時代じゃねえ…

『女神転生(Megami Tensei)』シリーズは、かつては宗教問題などで海外には出せなかったわけだが、いつからか海外市場にも出回るようになった…、そのせいでやはり宗教家から問題視された事件もあったが。スピンオフ作品『ペルソナ5(Persona5)』(PS4)も韓国で問題になったことがあったが(「旭日旗っぽいものがゲームに出てくる」などということが原因らしい)、その時も嫌韓バカウヨが騒いでいた。その『ペルソナ5(Persona5)』事件も、原因は日本のバカウヨどもにある。そのくせ韓国のせいにしたがるのって本当にバカじゃないのかと…。この事件が決定打になり、「バカウヨの暴走が怖いから『ライドウ』シリーズはもう出せない」ということならば私は歓迎する。
アトラスもかつては「日本でさえ受ければいい」と考えてゲーム開発をしていたのだろうが、今となっては世界市場、アジア市場も考慮しなくてはならず、「さすがに大日本帝国称賛、天皇崇拝称賛の『ライドウ(Raidou)』シリーズは日本以外のアジアでは出せないし、たとえ日本だけのリリースにしても中韓から反発されるし、さらに日本のバカウヨが中韓を攻撃するから無理だろう…」と判断しているのではないのか? 私としてはそうあって欲しいと願う次第だ。そしてその原因は中韓では無く日本のバカウヨどもにある、ということを自覚しろよ!
そうそう、私はこんなブログを書きながらもライドウは尊い! と毎日思っているよ(笑)。『ライドウ(Raidou)』アンチだと思われても困るので念のため。

2021年7月27日火曜日

いくら「架空の元号、架空の日本だから」といっても「このゲーム上の日本では植民地支配も侵略戦争もしていない」なんてのはあり得ないよ!

前回の記事より

前回の記事。


この中でこのように書いた。
『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)の時代は架空の1931年の日本であるが(大正二十年という架空の元号になっている)、この時代だと日本は侵略戦争を繰り返して韓国や台湾を植民地にしていた。だが、ゲーム上ではそれについての描写はほとんど無いし、在日韓国人らしい人も出てこない。戦争に関するセリフはいくつかあるものの、「日本が韓国と台湾を侵略して植民地にし、韓国人と台湾人に酷いことをしている」といった具体的な話はほとんど無いに等しい。

この、『超力兵団(Soulless Army)』においては植民地支配も侵略戦争もほとんど描かれていないことについての問題点をさらに掘り下げよう。


「架空の元号、架空の日本だから」といっても…

『超力兵団(Soulless Army)』は、前述のように「1931年の架空の日本を舞台としている。元号も架空の『大正二十年』となっている」設定である。だが、「フィクション作品で、架空の元号の日本が舞台だからといっても、何でも都合良く歴史的事実を書き換えることなど出来ない」ということは強調しておきたい。プレイヤーの中には「このゲームの日本は架空の元号を持つパラレルワールドだから、植民地支配や侵略戦争などしていないのだ」と思う者も居るかも知れないが、それは絶対にあり得ないだろう。
これに関してはこちらのブログでも書いた。


この中から引用しよう。
なお、「このゲーム上では、日本はどこも植民地にしていないのだから、植民地支配に関するセリフは無いのだ」という説は絶対に成立しない。何故なら、1931年当時の日本があのように近代化して発展した姿なのは、「植民地を踏み台にし、韓国や台湾の人々から搾取していたため」なのだから。日本人だけの力で発展したわけではない。もしも植民地支配が無かったとしたら、このゲームに出てくる「近代化して発展した日本」は存在しないはずだ(ずっと江戸時代のようだったりして…)。

そう、『超力兵団(Soulless Army)』の日本(特に都市部である東京)があのように近代化しているのは、「日本が侵略戦争を繰り返し、日本の植民地にした韓国や台湾の人々から搾取してきたことと、在日韓国人の労働者が日本に存在すること(ゲーム上には出てこないが)」の何よりの証拠である。無論日本人の努力や、「安月給の日本人労働者」からの搾取もあるのは確かだが。もし植民地からの搾取が全く無かった場合は、恐らくこのゲームに出てくる東京には近代的なビルやデパートなどはほとんど無く、江戸時代のような街並みしか見られないのでは。「車」や「路面電車」も無く、「洋服」を着た人もほとんど見かけないかも知れない。

それを踏まえれば、「このゲームの日本は架空の元号を持つパラレルワールドなので、植民地支配や侵略戦争などしていない、だからそれが描かれることは無かった」という、日本にだけ都合のいい設定は完全に否定される。憶測ではあるが、製作者は「ゲームで戦前日本を描くと歴史問題、植民地問題、戦争の問題などで韓国や中国から色々文句を言われるから(私みたいな一部の日本人も言うけど)、あらかじめ『このゲームはフィクションであり、架空の元号を持つパラレルワールドの日本での話です。史実とは関係ありません』としておけば安心だろう」と考えたのかも知れないが、残念だがそれは通用しないんだよ。それを通用させようとするなら、「植民地支配や侵略戦争が無かった場合の日本の街並み」を想像して作らなければいけなかったのだ。


歴史問題を避けるには結局「架空の世界」が舞台なのが一番安全だから…

ここではあえて「日本のRPG(Role-playing game)」に限定して言うが、RPGの世界観を作る時、「全くの架空の世界を描く場合」(ファンタジーRPGによくある。『ドラゴンクエスト(DragonQuest)』や『ファイナルファンタジー(FINAL FANTASY)』など)と、「実際にある国を基にして描く場合」(『女神転生(Megami Tensei)』や『ペルソナ(Persona)』シリーズでよくある)とではやはり違いは出てくるだろう。

特に「特定の国の過去」を描こうとすると、「歴史問題」とぶつかることはどうやっても避けることは出来ない(特に過去の日本)。だから日本のゲームメーカーはクレームを避けるために、RPGを作る場合は「ファンタジーRPG」にすることが多く、『超力兵団(Soulless Army)』のような世界観を持つものは非常に少ないのであろう。

「軍艦島」はこのゲームにも存在するであろう

最近、「軍艦島」のことが話題になっている。この島では、大日本帝国だった時代の日本が朝鮮人・中国人労働者をこき使っていた事実があるが、政府はこれをひた隠しにし、「明治時代の栄光の歴史」としたがっているようだ。だがそのような歴史捏造は批判されて当然であろう。

『超力兵団(Soulless Army)』の世界においても軍艦島は存在するだろう(この時代だとまだ中国人労働者は居ないだろうけど)。ゲーム中に出てくることは無いが、軍艦島の労働者より搾取した利益で発展し東京の街づくりに貢献した企業は存在するだろうから、もし軍艦島が無い世界を描こうとすれば当然街並みも変えなければならない。

何度でも書くが、現在の日本は歴史修正主義や歴史美化(侵略戦争の美化、植民地支配の正当化など)が横行しており、こんな時代には『超力兵団(Soulless Army)』のような「栄光の戦前日本を描くゲーム」は特に右翼からは歓迎されるかも知れないが、それこそが危険なのだよ。だからこそ、今の時代には二度と復活して欲しくない。言っておくが、ライドウは好きだよ? でも好きだからこそ、歴史修正主義の右翼に利用されたくない。


2021年7月26日月曜日

植民地支配も侵略戦争も描かずして「軍国主義や全体主義への警告」など描けるはずは無い!

前回の記事より

前回の記事。


この中でこんなことを書いた。
『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2)のプレイヤーの中には、「このゲームは大日本帝国時代の軍国主義や全体主義への警告をテーマにしているから、大日本帝国礼賛ゲームでは無い」と思う人も居るようだが、私はそうは思っていない。

 この理由についてさらに掘り下げたい。


このゲームでは植民地支配も侵略戦争も描かれていない

『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)の時代は架空の1931年の日本であるが(大正二十年という架空の元号になっている)、この時代だと日本は侵略戦争を繰り返して韓国や台湾を植民地にしていた。だが、ゲーム上ではそれについての描写はほとんど無いし、在日韓国人らしい人も出てこない。戦争に関するセリフはいくつかあるものの、「日本が韓国と台湾を侵略して植民地にし、韓国人と台湾人に酷いことをしている」といった具体的な話はほとんど無いに等しい。
だいたい、この事実を描かずしてどうやって「戦争や全体主義・軍国主義への警告」などを描くことが出来ようか? 『超力兵団(Soulless Army)』は戦前日本の侵略戦争及び植民地支配の真実を描こうともしない上、さらに天皇守護組織「超國家機関ヤタガラス」の命令で大正天皇を救ったり、天皇にまつろわぬ者たちを倒して大日本帝国を救わなければならない話だ。その時点で、「どう好意的に解釈しようとも、戦争や軍国主義への警告など描けてはいない。『天皇と日本を護ることは素晴らしい』と言っているようにしか見えない」のである。

特に今は歴史修正主義・嫌韓・嫌中・右翼思想が蔓延しているため…

若干話が変わるが、先ごろの東京オリンピック開会式で、スクウェア・エニックスのゲーム『ドラゴンクエスト(DragonQuest)』(以下『ドラクエ(DQ)』)の曲が使用されたことが一部で問題視されているのはご存じであろうか? 『ドラクエ(DQ)』そのものが問題というより、『ドラクエ(DQ)』の作曲者が歴史修正主義の右翼だから問題視されたのだが、このように今の日本は「歴史修正主義者が作った音楽でも平気でオリンピックの開会式に流せる」異常事態だと思う。つまり、一般層にも歴史修正主義や嫌韓・嫌中、右翼思想が入り込んでいるわけだ(書店でベストセラーになっている本にその手のものが多いことからも伺えるのでは?)。
こんな時代に『超力兵団(Soulless Army)』及び『ライドウ(Raidou)』シリーズを復活させると、製作者の伝えたかったメッセージ(ちなみにゲーム自体のテーマは「パッション(情熱)」である)とは関係無く「天皇家と大日本帝国を護るのは素晴らしい。天皇陛下万歳! 大日本帝国万歳!」というメッセージを感じ取るプレイヤーが続出する恐れがある。だからこそ、私は復活には反対し続ける。

2021年7月25日日曜日

このゲームでいくら「軍事社会・戦争への警告」を訴えたとしても「天皇守護組織を味方としている」時点で台無しになっている

このゲームは「軍国主義・全体主義への警告」を現している?

『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2)のプレイヤーの中には、「このゲームは大日本帝国時代の軍国主義や全体主義への警告をテーマにしているから、大日本帝国礼賛ゲームでは無い」と思う人も居るようだが、私はそうは思っていない。
たとえ、製作者の意図がそうであったとしても、大正天皇を守護している組織「超國家機関ヤタガラス」(以下ヤタガラス。国家神道がモデル)が味方である時点で台無しになっていることには気が付かないのだろうか?

天皇制こそが「全体主義・軍国主義」の元凶なのだが?

そもそも天皇制は身分差別制度だし、明治から昭和の終戦までの天皇は軍の大元帥であったし(このゲームでは海軍のみの大元帥になっているのが気になるが…)、さらに天皇制は家父長制の元凶でもある。天皇家を守護するのは、要は「差別思想、家父長制思想、軍国主義、全体主義を称賛している」のと同じことだろう。
つまり、このゲームでどんなに「戦争反対、軍国主義・全体主義反対、差別反対」を訴えたとしても、天皇守護のヤタガラスが味方である限りは何の説得力も無い。さらに「ヤタガラスの命令で天皇にまつろわない者たちを倒して大日本帝国を護ったり、危機に陥った天皇を命がけで救ったりする(「教育勅語」に似ている)ような話」のどこが「軍国主義・全体主義への警告」と言えるのか?

2021年7月23日金曜日

「天皇守護組織ヤタガラスを滅ぼすようなゲームは国辱もの」だと言われるかもって? それは逆では無いのか?

なぜヤタガラスを滅ぼすような話にはしないのか?

何度も書くが、『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)は「戦前日本が舞台で、大正天皇を守護する組織・超國家機関ヤタガラス(以下ヤタガラス)が味方であり、ヤタガラスの命令で天皇を救ったり大日本帝国を救ったりする」のがコンセプトのゲームである。
このゲームではヤタガラスを滅ぼすような行動は取れない。しかし、日本を戦争へと導いた「国家神道」がモデルとしか思えないこの組織を滅ぼさない限りは、本当の意味で日本を救うことは出来ないのに、なぜヤタガラスを滅ぼすような話にはしなかったのか? 過去の『女神転生(Megami Tensei)』シリーズであれば、「主人公が所属する組織を滅ぼす」展開もあったのだが…。

天皇守護組織を滅ぼす話だと「国辱ゲームだ」と言われるから?

これは「天皇を守護し大日本帝国を護っているヤタガラスを滅ぼすような話にすると、右翼から『これは国辱ゲームだ』と抗議される恐れがあるから」、ヤタガラスを滅ぼす展開を入れることは出来なかった、とも考えられる。
だが、私に言わせてもらうと、このゲームのような「大日本帝国の悪行(侵略戦争、植民地支配など)を覆い隠すような世界観とストーリーを持ち、差別制度である天皇制を支持する組織を味方とするもの」を世に出し、さらに海外展開もする方が余程「国辱もの」だと思う。日本の右翼が歴史修正主義にハマり、それを世界に喧伝して日本の恥をさらしていることと似ている(世界では日本の歴史修正主義は通用しないのだが)。
今の日本の事情(歴史修正主義や嫌韓・嫌中の蔓延、右傾化)を鑑みると、やはりこの『超力兵団(Soulless Army)』及び『葛葉ライドウ(Raidou Kuzunoha)』シリーズを再び世に問うことには反対するしかない。

2021年7月22日木曜日

「戦前回帰」するきな臭い今の日本には相応しくないゲームなのだから…

今の日本は「新たな戦前」なのかも知れない…

まず最初に言うが、何度も書いたように私は『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2。発売元・アトラス。以下『超力兵団(Soulless Army)』)の大ファンであり、主人公・ライドウ(Raidou)が大好きだが、しかし『葛葉ライドウ(Raidou Kuzunoha)』シリーズの復活には一切反対する。その理由は今までたくさん書いたが、今まではあまり書かなかった別の理由もあるので今回はそれについて。
今の日本は、時代の空気に敏感な者なら「何だかきな臭い感じがする」と分かるのではないか。改憲問題や歴史修正主義の蔓延、領土問題、嫌韓・嫌中思想の蔓延、北朝鮮への敵意など、戦前日本のようなきな臭い空気が感じられる(鈍感な人間には分からないだろうが…)。そう、まるで「新たなる戦前」のような空気。

『超力兵団(Soulless Army)』はそもそも「きな臭いゲーム」だからさ…

今まで何度も書いたが、おさらいしておくと『超力兵団(Soulless Army)』はこういう内容のRPGである。

1931年の大日本帝国(史実とは異なり「大正二十年」となっている。史実では「昭和六年」)を舞台とする『メガテン』(『女神転生(Megami Tensei)』)シリーズの一種であり、シリーズ中では異端。主人公のデビルサマナー・葛葉ライドウが、天皇(ゲーム上では大正天皇)と日本(国体)を守護する「超國家機関ヤタガラス」(国家神道がモデル。思想は極右としか思えない。以下ヤタガラス)の命令で「帝都」(東京)を守護する話。敵対するのは、日本を破壊しようとする「天皇にまつろわぬ者」たち(中には日本軍の軍人も居る!)であり、第七話ではヤタガラスに命じられ、危機に陥った天皇(としか思えない人物)を救わなければならない。最終ボスは「伽耶」(古代韓国っぽい名前)という少女と戦艦(実はロボットに変形する!)。

この内容を見るだけでも(パッケージイラストを見ても何となく分かるだろうが)「このゲームは何かきな臭い感じ、右翼臭、ナショナリズム臭、ミリタリー臭がする」と思うのではないか? 戦前日本を舞台にするとある程度そうなってしまうのは分かるが(人気の『鬼滅の刃(Demon Slayer)』も時代背景的には似ているけど…)、それだけでは無くやたらと旧日本軍軍人や軍用施設が出てきたり、戦艦が出てくる点、天皇守護組織を味方とし天皇と大日本帝国を護る点などもまたきな臭さを倍増させる。

きな臭い世の中で再び世に問うと警戒されるのは当然なので…

私がライドウのファンでありながらも復活には断固として反対するのは、時代の空気を敏感に読み取れてしまうからだろう。このきな臭い、戦前回帰したような空気。こんな時代に『超力兵団(Soulless Army)』のような、いかにもミリタリー色、右翼色の強いゲームを再び世に出せば、メガテニスト及びゲームファン、その他一般人から警戒されるのは当然だと思わないか? 人によっては「むしろ今の時代に合っているから出すべき」と言うかも知れないが、そう言うのは多分右翼っぽい人だけだろう。なお続編の『デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王(Devil Summoner 2: Raidou Kuzunoha vs. King Abaddon)』(プレイステーション2)についてはその「きな臭さ」はだいぶ無くなっているが(とは言え時代は1931年のままだし…)、こちらについても復活は希望しない。結局、天皇守護の「ヤタガラス」が味方であることに変わりは無い限りは、「このシリーズは天皇崇拝を称賛しており、その結果として日本がやった戦争や植民地支配を正当化している(さらに「天皇制がもたらす差別」も容認する)ようにしか見えない」のだから。なお、続編においてきな臭さが随分和らいでいるのは、前作に批判があったからではないか、と考えている。
新作? それももちろん希望しない(そもそも開発チームは既に解散済みとのことで、今更作る気は無さそうだが)。もし今の時代に、若いスタッフによってこの『ライドウ(Raidou)』シリーズを作ると、その「きな臭さ」はますます倍増しそうだから。今の若い人の中には歴史修正主義、嫌韓・嫌中に毒されている人も居るだろうし、そういう人がこのシリーズを作るとなると危険だ…。
まあ、あからさまな差別表現(例えば「ライドウが中国人・韓国人を倒しに行く話」など)はゲーム倫理上不可だし、アトラスとセガ(親会社)も「差別は許さない」という企業理念は恐らくあるだろうし、「差別制度である天皇制を美化したり、歴史修正主義や嫌韓・嫌中を煽りかねないゲームはもう出すわけには行かない」と思ってくれると信じているのだけどね。

2021年7月14日水曜日

「天皇が出てくるメガテンは無い」なんてのは嘘だから…

天皇が出てくる『メガテン』は存在する

メガテニストたちの意見を見ていると、「天皇が出てくる『メガテン』は存在しない」と思っている者が多いと考えられる。
だが、天皇が出てくる『メガテン』は存在するのである。それこそがこのブログで扱っている『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)である。

なぜそのことに気が付かないのか?

何度も書くが、このゲームの第七話は「超國家機関ヤタガラス」(味方組織。以下ヤタガラス)の命令で「大正天皇としか思えない『重要な御方』を救わなければならない」シナリオである。なおこのゲームの時代は1931年だが、「史実より大正天皇が長生きしている」設定である。
「天皇の出てくる『メガテン』は存在しない論者」は、この3パターンに分類されるだろう。
  1. 『超力兵団(Soulless Army)』をプレイしたことが無い。
  2. 『超力兵団(Soulless Army)』をプレイしたことはあるが、第七話まで辿り着いていない。
  3. 『超力兵団(Soulless Army)』をクリアしたが、第七話に出てくる「重要な御方」が大正天皇であることに気が付いていない。
ここでは「3」のパターンを取り上げてみよう。
第七話に出てくる「重要な御方」は、サブキャラクターの「ヤタガラスの使者」のセリフによれば「この御方は海軍の…、いや、日本國の未来において、重要な御方です」となっている。1931年の日本では天皇は軍の大元帥であったし(史実では陸海軍だがゲーム上では何故か海軍のみになっているのは気になるが…)、さらに彼は「大日本帝国にとって重要な人物」とされていたことも事実だ。
また「重要な御方」を救うことを命じる「ヤタガラス」とは本来、『古事記』によると「神武天皇(架空人物)を導いたとされるカラスの名前」である。それを踏まえれば、この人物が大正天皇だと分かるだろう。
それなのに、「3」パターンの人はなぜそのことに気が付かないのか?

歴史を勉強していないからこういうことになる

私が思うに、「3」パターンの人は「日本の近現代史のことをちっとも勉強していないし、天皇の戦争責任についても全く考えたことが無い人」が多いのだろう。明治天皇から昭和天皇までの天皇は、日本の敗戦まで「軍の大元帥」であった事実すら知らないのかも知れない。日本がダメなのはこういうところだ。日本の戦争、植民地支配、天皇の戦争責任について学ばないどころか、歴史修正主義に走って悪い歴史を美化したがる…。
こちらも参照。

2021年7月11日日曜日

二次創作小説めいたもの・「日本敗戦後のライドウ」

前回記事より

前回の記事。


ここでは、『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)の未来では、韓国の歴史教科書には「十四代目・葛葉ライドウは韓国を苦しめた敵である」と書かれているだろう、といった話をした。
今回はそれを元にして、一種の二次創作短編小説のようなものを書いてみたい。タイトルは「日本敗戦後のライドウ」

小説・日本敗戦後のライドウ

1931年(ここでは架空の「大正20年」となっている)、ライドウの活躍により「超力兵団事件」が終結した後、満州事変が起こる。その後大正天皇は死去し昭和天皇の時代になる(いつ昭和になるかは不明だがここでは1932年あたりとする)。そして天皇と超國家機関ヤタガラス(天皇守護組織。モデルは国家神道。以下ヤタガラス)の命令により日本は「日中戦争」「大東亜戦争」(アジア・太平洋戦争)へと突き進んでゆく。
成人したライドウもまた、徴兵されて戦争へ行くことになる。それが大日本帝国を護ることだとヤタガラスに洗脳されてきたのだから。どこへ行ったかは不明(中国あたりかも)。無論そこでたくさんの敵兵を殺してきた。もしかすると一般人も殺したかも知れない。
そして1945年、沖縄戦が勃発し、日本には二度も原爆が投下され、八月十五日に敗戦となった。大日本帝国は滅び、新たな「日本国」となる。昭和天皇は戦犯なのに、裁判は回避され生き残ってしまった。
ライドウは無事に日本に帰ってくるが、戦後日本にはヤタガラスは存在しなかった。なぜなら、GHQがヤタガラスを発見し、「天皇を神格化するような組織の存在こそが植民地支配と侵略戦争を引き起こしたのだ。存続は認められぬ」として解体を命じたからだ。「葛葉一族」も発見され、解体を命じられたという(ただし「葛葉キョウジ」の祖先だけはひっそりと生き延びていた)。
ライドウは、もはや何を信じればいいのか分からなくなった。
「私が悪魔と共に、大日本帝国のため、天皇のために戦ってきたことがこんな結果をもたらすとは…! 私の使命は人々を脅威から護ることだった…。それなのに、多くの人々を殺してしまった…!」
ライドウはデビルサマナーを引退することを決めた。鳴海探偵社も退社。相棒の黒猫・ゴウトも居なくなった(中身は咎人・初代ライドウなので、ヤタガラス壊滅後に天に召されたのだろう)。ライドウとは名乗らなくなり本名で生活をすることに。ゲーム上では本名は設定されていないので(プレイヤーが決める)、ここでは「元・ライドウ」とする。
元・ライドウは東京を離れ、日本のどこかでごく普通の仕事をして暮らしていた。ある時、気まぐれで韓国へ観光旅行に出かけることを決めた。
韓国の歴史資料館を訪れた元・ライドウは、ある展示室に「過去の自分のこと」が紹介されているのを見つけて衝撃を受ける。そこにはこう書かれていた…。

「デビルサマナー・十四代目葛葉ライドウは、天皇崇拝組織・超國家機関ヤタガラスの命令で大日本帝国と天皇家を守護していた日本人。韓国が『天皇の名の下に』行われた植民地支配で苦しんでいることを知らず、ヤタガラスの味方であり続けた。韓国人からは今も恨まれている。日本の敗戦後、ヤタガラスは崩壊。その後のライドウの行方を知る者は居ない…」

そして周りの韓国人も、「天皇の味方をして、韓国人を苦しめたライドウは許せないよね」、「彼は『日本と天皇を守護するのは韓国を苦しめること』だって知らなかったんだろう」などと言う。
元・ライドウは思う。
「私は韓国人の敵なのか? 確かにそうだ、『天皇の名の下に』行われる植民地支配のことなど教えられなかった。もしそれを知っていたら、韓国人を救うためにヤタガラスを滅ぼしていただろうに…! 私はいったい何てことを…!!」
いっそのこと、韓国人たちに土下座して「私こそがライドウだ、何も知らずにヤタガラスに従って、あなた方を苦しめたことをお詫びしたい」と謝りたかった。だがもし実行しても「あなたがライドウだって? 何を言っているの? ライドウなんてずっと行方不明なんでしょ?」と言われて相手にされないだろう。
日本に帰国した元・ライドウは、どうすれば韓国人にお詫びが出来るのか考えていた。
「そうだ、魂だけ過去に戻り、別の人間に憑依して、かつてヤタガラスに従っていた自分を倒してしまえばいいのだ」
これはただの実現不能な夢想に思える。しかし元デビルサマナーの彼にはその力があった…。「アカラナ回廊」を経由し、魂のみ1931年に戻り、ある人物に憑依した。その人物こそこのゲームのヒロイン・「大道寺伽耶」だった。その時の伽耶は「伽耶に憑きし者」と呼ばれる。
そう、実はあの超力兵団事件は、全て未来から来た十四代目ライドウが引き起こしたもの…。伽耶に憑きし者は「自分はTOKYOミレニアムから来たテンプルナイトだ」とか「ライドウの名を継いだ者」などと言っていたが、それはただの作り話に過ぎないのだ。
伽耶に憑きし者の正体である元・ライドウは、かつての自分と必死で戦った…。だが、かつての自分はあまりにも強く、敵うことは無かった。結局、また戦後日本に戻ってきた元・ライドウ。
「かつての自分を倒せなかった私は、どうやって韓国人に詫びればいいのか?」
苦悩する元・ライドウ。やがて、日本に「歴史修正主義」と「嫌韓」が蔓延る時代に突入する。歴史修正主義者の歴史観では、「ヤタガラスとライドウがやったことは正しい、日本は侵略戦争などしていない、植民地主義は正しかった」となっているらしい…。元・ライドウは危機感を覚え、この歴史修正主義・嫌韓と生涯戦うことが「韓国人へのお詫び」になると考えたのであった。(了)

これの元ネタはこちらで

この小説は、こちらで書いた『超力兵団(Soulless Army)』を私が独自に読み解いた説を参考にして書いた。


こちらでは、今回の小説とは若干違う解釈になっている。私が思う「理想的なエンディング」についても書いてある。

参照ゲームソフト

  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(プレイステーション2/発売元・アトラス。英語版は『Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army』)

参考文献

  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式完全本(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)

2021年7月10日土曜日

未来の「韓国の歴史教科書」にはもしかすると…

ライドウとヤタガラスがやったのは「戦争と植民地支配を支持すること」だった…

『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)の主人公・ライドウは、天皇を守護する組織「超國家機関ヤタガラス」(以下ヤタガラス)の命令で架空の1931年の帝都を護っているわけだが、『超力兵団(Soulless Army)』の未来ではヤタガラスとライドウがやったことはむしろ否定されなければならない。なぜなら、「帝都を護る」とは「国体(天皇制国家)を護ること」であり、「日本が起こした植民地支配と侵略戦争を肯定する」意味があるからだ。

韓国の教科書ではこう書かれる?

では、『超力兵団(Soulless Army)』の未来(日本の敗戦後)を想像してみよう。韓国で使われる歴史教科書の近現代史ページには、もしかしたらこのように書かれている?

「大日本帝国時代の日本には、超國家機関ヤタガラスという天皇守護組織があった。ヤタガラスに仕えるデビルサマナー・葛葉ライドウは、ヤタガラスの命令で天皇と帝都(日本の首都)を守護していた。その結果、韓国は日本がアジア・太平洋戦争に負けるまでずっと日本の植民地とされて虐げられた。ライドウは韓国人にはひどく恨まれており、今でも恨む人は多い。ヤタガラスは日本の敗戦後に解体され、ライドウの行方を知る者も居ない」

ちなみに、このゲーム上の未来の中国の教科書でも同じように書かれているのかも知れない(中国侵略はこのゲームの時代より後だが)。

2021年7月6日火曜日

歪んだナショナリズムが高まる今の時代には…

延期されていた東京オリンピックも開催されようとしている。感染症の拡大を懸念するならばやる必要の無いものだが、結局開催されてしまうのか。

なぜ感染拡大防止よりもオリンピックが大事なのか? もし今の日本が右傾化していなくて、歪んだナショナリズム(歴史修正主義のネット右翼の言動はまさにそれ)が広まっていなければ、開催されることは無かったのではないか、と思っている。オリンピック自体が政治性とナショナリズムを帯びたものだから。そう、「オリンピックを無事に開催することが日本の誇り」だと政府自身が思っていることは間違いない。

『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(プレイステーション2。以下『超力兵団』)の時代は戦前の日本(架空)なので、愛国主義や日本第一主義が啓蒙されていたのだろうけど、このゲームの世界の場合、そうなったのは天皇守護組織「超國家機関ヤタガラス」が陰に居るからであろう。史実で言えばかつて存在した国教「国家神道」のことだ。それについてはゲーム上で何の指摘も無いが。

歪んだナショナリズム自体はこの日本にずっと存在し続けていたが、戦前・戦中は特にそれが高まった時代だったのだろう。そして歴史修正主義と嫌韓・嫌中が蔓延る今の時代もまた…。

ライドウは好きだけど、『超力兵団』はどうしても復活させたくない、と繰り返し言っているのは、このゲームの時代と同じような歪んだナショナリズムが広がり、本来は開催すべきではないオリンピックが「日本の誇り」の名の下に開催されてしまう今の時代には相応しくないものだから。人によっては「ナショナリズムの高まった今の時代にこそ相応しいゲーム」と映るだろうが、そう思ってしまうことが危険なんだよ。

2021年6月7日月曜日

宗像とスクナヒコナは鳴海たちに「加害者であること」を自覚させようとしたのに…

前回記事をさらに掘り下げる

前回のこの記事。


これについて、もう少し掘り下げてみたい。

宗像とスクナヒコナのセリフ

『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(プレイステーション2)の第伍話の敵将・宗像のセリフの一部を再録する。

宗像「やはり来たか、葛葉ライドウ。海軍…いや国家に利用されし愚かなデビルサマナー。
ライドウよ、お前は知りながら従っているのか? ヤタガラス…、いや、この国家が我らに行なった行為を…。
かつて…、そう遥か古の時代、天より降り立ったという者がいた。その者は己こそ大和の地の支配者と呼び、その地に住む民を征服し始めた。頭を垂れる者を従え…、反抗する者を討ち果たし…、大地を血で染めて作り上げたのがこの日本という国なのだ。(後略)」

第拾話で、宗像の肉体は実は「スクナヒコナ」という国津神に乗っ取られていたことが判明する。スクナヒコナと、主人公・ライドウの仲間である探偵・鳴海とのやり取りの一部を再録する。

スクナヒコナ「帝都百万の民の死滅…、それが超力超神に与えし命。全ての民が罪を噛締(かみし)めながら、悶え、そして死ぬのだ!」
鳴海「…馬鹿な、何千年もの昔の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!」
スクナヒコナ「ヤツらの末裔である事…、産まれ落ちた事が罪なのだ!」
鳴海「そんなムチャな…」
スクナヒコナ「貴様らにはわかるまい。虐(しいた)げられし者の心なぞ…。帝都破壊の前に、貴様らを血祭りに上げてくれる!」

「侵略戦争の加害者」であることを鳴海たちに自覚させようとした…

前回書いたように、宗像とスクナヒコナのセリフは「日本の侵略により日本化された琉球と蝦夷、そして日本の植民地にされた韓国や台湾の人々」の恨みの言葉に見えるわけだが、さらにもう一つ付け加えると、スクナヒコナの「ヤツらの末裔である事…、産まれ落ちた事が罪なのだ!」は、「鳴海やライドウに、『貴様ら大和民は侵略の加害者の末裔だ』ということを自覚させようとしたもの」でもあると思っている。だが結局、鳴海はそれを自覚出来ないので「…馬鹿な、何千年もの昔の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!」と突き放してしまったのだろう。
さらに言うと、宗像とスクナヒコナのセリフは、実は「戦争の歴史を知らずに生きる現代日本人に対する警告」なのだろうと思っている。宗像の「その者は己こそ大和の地の支配者と呼び、その地に住む民を征服し始めた。頭を垂れる者を従え…、反抗する者を討ち果たし…、大地を血で染めて作り上げたのがこの日本という国なのだ」は、「この日本国は、かつて侵略戦争と植民地支配で韓国人や中国人たちを散々痛めつけてきた戦犯らによって作り上げられた血塗られた国なのだ」という意味とも読めるからだ。スクナヒコナの「ヤツらの末裔である事…、産まれ落ちた事が罪なのだ!」も、「日本人として生まれた以上、祖先の犯した戦争犯罪・植民地支配責任から逃れることは決して出来ない」と言っているように見える。
鳴海は、一般的な現代日本人像(または右翼化した日本人)を投影したものだと私は思っている。つまり、韓国人などから「日本人は戦犯の子孫だ」と言われると耐えられなくなって現実逃避してしまう(歴史修正主義に走ってしまう)日本人そのもの。だからこそ「昔のことは俺たちには関係無いことだ、日本に生まれただけで罪だなんてムチャなこと言うな」といったセリフを言えるのだろう。そして前回も述べたように、鳴海の姿は「侵略者の子孫であることを自覚出来ない製作者」そのものだとも思えるのだ。

参照ゲームソフト

  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(プレイステーション2/発売元・アトラス)

参考文献

  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式完全本(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)

2021年5月27日木曜日

このゲームの製作者は自分たちが「侵略した側の子孫である」ことを認識出来ていない

実に興味深いセリフ

『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(プレイステーション2。以下『超力兵団』)は、架空の1931年の大日本帝国が舞台であり(元号は架空の「大正20年」であるが)、基本的なストーリーは「天皇崇拝組織・超國家機関ヤタガラスの命令で、天皇(ここでは大正天皇)にまつろわない者たちを倒して帝都(大日本帝国の中心)を守護する」ことだ。
このゲームの第八話と第拾話(第十話)には興味深いセリフがいくつかある。別ブログ「ろーだいありー」(はてなブログ)で書いたこちらの二つの記事も参照。



第八話の宗像のセリフについて

このゲームの登場人物の一人「宗像」とは、主人公のライドウと敵対する陸軍軍人である。『超力兵団』の第八話は、「和電イ号基」という鉄塔に潜入して宗像に会うのが目的の話だ。宗像に会うと、このようなセリフを言う(一部句読点を足し、難しい漢字には読み仮名を付けたが、基本は原文ママ。以下のゲーム中のセリフは全て同じ)。

宗像「やはり来たか、葛葉ライドウ。海軍…いや国家に利用されし愚かなデビルサマナー。
ライドウよ、お前は知りながら従っているのか? ヤタガラス…、いや、この国家が我らに行なった行為を…。
かつて…、そう遥か古の時代、天より降り立ったという者がいた。その者は己こそ大和の地の支配者と呼び、その地に住む民を征服し始めた。頭を垂れる者を従え…、反抗する者を討ち果たし…、大地を血で染めて作り上げたのがこの日本という国なのだ。
従う事を良しとせず、戦いに敗れた民は、様々な蔑称で呼ばれながら生き続けた。鬼とも土グモとも呼ばれ、大和の民とは認められずにいた…。…そういった国家に殺されし者。伏(まつ)ろわずに消えた民の怨嗟(えんさ)の声が、私を動かしているのだ!(後略)」

第拾話のスクナヒコナのセリフについて

『超力兵団』の第拾話は、ライドウの仲間である探偵の男「鳴海」を救出するために「陸軍地下造船所」へ向かう話。鳴海を救出し最下層へ行くと、宗像と再会する。ちなみに鳴海は元は陸軍に居た男で、宗像のことは知っているらしい。最下層での鳴海とのやりとりの一部を紹介。

鳴海「…超力兵団計画。その名を聞いた時から気になっていたんだ。
宗像さん…、やはり貴方の仕業か」
宗像「…デビルサマナー 葛葉ライドウ。やはり我らが前に立ち塞がる気か」
鳴海「宗像さん…、答えてくれ。俺は、かつてのあんたを知っている。
国を強くする意志を持っていたが…、民を犠牲にする考えは無かったはず!
何故、今! こんな計画を!!」
宗像「…そは古き時代よりの復讐。天津の一族を滅ぼす事が我が悲願」
鳴海「…な、何?」
宗像「帝都に住む人間の事などどうでもよいと言ったのだ。我らが悲願…、我らが願い…、血と汚名を背負い倒れた幾多(いくた)の同胞の無念の声が…、…我を突き動かすのだ! 愚かな人間を死滅させよと!」

その後のイベントで、彼の肉体と精神は実は「スクナヒコナ」という国津神に乗っ取られていたことが判明する。正体を現したスクナヒコナと鳴海との会話の一部を紹介する。

スクナヒコナ「帝都百万の民の死滅…、それが超力超神に与えし命。全ての民が罪を噛締(かみし)めながら、悶え、そして死ぬのだ!」
鳴海「…馬鹿な、何千年もの昔の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!」
スクナヒコナ「ヤツらの末裔である事…、産まれ落ちた事が罪なのだ!」
鳴海「そんなムチャな…」
スクナヒコナ「貴様らにはわかるまい。虐(しいた)げられし者の心なぞ…。帝都破壊の前に、貴様らを血祭りに上げてくれる!」

ここで鳴海が「…馬鹿な、何千年もの昔の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!」と言うのだが、これの問題点は『シリーズ 「超國家機関ヤタガラス」はなぜ怖ろしいのか? ・第八回目「『第拾話・帝都炎上!』に見る歴史認識問題・戦後責任問題・歴史修正(改竄)主義」』にも書いた。
だが、最近になってこのセリフにはさらに問題があると気が付いた。今回はそれがテーマ。

鳴海のセリフは「侵略者の子孫であることを忘れた製作者」の独りよがりな独白だと思える

宗像とスクナヒコナのセリフは、このゲーム上での設定では『古事記』に出てくる架空人物「神武天皇」によって侵略され、大和を追われた国津神の恨みの言葉なのだが、それをこのゲームの時代背景で言われると「日本の侵略により日本化された琉球と蝦夷、そして日本の植民地にされた韓国や台湾の人々」の恨みの言葉にしか見えない。
ライドウや鳴海は、スクナヒコナなどの国津神から見れば「侵略した側の子孫」ということになるが、鳴海はそのことに無自覚だからこそ「…馬鹿な、何千年もの昔の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!」と突っぱねてしまえるのだ。
このゲームの製作者側も「自分たちは琉球、蝦夷、韓国、台湾、中国などを侵略した側の子孫」であることに無自覚だからこそ、このようなセリフが書けるのだと思う。そして、自分が「侵略者の子孫」だと思っていないからこそ、「日本を破壊しようとする侵略者(天皇にまつろわぬ者たち)から帝都を護る」という、まるで「日本が侵略の被害者」であるかのようなストーリーが作れるのだろう。
そう考えると、右翼による歴史修正主義が蔓延した今の時代には、このようなゲームはやはり復活させるべきではない。もしもこのゲームを作り直すとすれば、そのような「我々日本人は侵略などしていない、むしろ侵略された被害者だ」などという、歴史修正主義的な思想から抜け出すべきだ。

参照ゲームソフト

  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(プレイステーション2/発売元・アトラス)

参考文献

  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式完全本(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)

2021年5月20日木曜日

ここまで露骨な「天皇崇拝称賛ゲーム」は前代未聞であろう

はっきり言って 『超力兵団』は「天皇崇拝称賛ゲーム」である

何度でも書くが『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(プレイステーション2。以下『超力兵団』)は、「大正天皇を守護する組織・超國家機関ヤタガラス(以下ヤタガラス)」が味方」であり、「ヤタガラスの命令で大正天皇を救わなければならない」話もあるゲームだ。
まず、この設定とストーリーだけでももう「このゲームは天皇崇拝を称賛するような内容だ」「天皇家を神聖なもの、守護すべきものと描いている内容だ」と気が付くのではないだろうか。

ここまで露骨に天皇家を賛美するようなゲームは恐らく今まで無かったであろう

以前も書いたように、家庭用ゲーム機で正式に日本で発売されたゲームで「戦前または戦中の大日本帝国が舞台で、日本を救うのが目的のゲーム」であれば『超力兵団』以前にも既に存在していただろう。だがその手のゲームでさえ恐らく「天皇家称賛、天皇崇拝称賛」的な描写は避けていたのではないだろうか。それは恐らく「大日本帝国は天皇を崇拝したせいで戦争を招き、滅びてしまったから」、「昭和天皇は戦犯だと主張する人も居るから」、「天皇制は身分差別制度のため称賛出来ないから」、「天皇嫌いの人もプレイする可能性があるから」、「かつて日本に攻め込まれた中韓などから問題視されやすいから」といった理由で避けられてきたのだと思う。しかしこの『超力兵団』では今までは避けられてきたであろうその「天皇家称賛、天皇崇拝称賛」を露骨に表現したゲームである。

なぜ天皇賛美描写を入れたのか?

なぜこの『超力兵団』に「天皇崇拝を賛美するかのような描写」を入れたのか? はっきり言うと、このゲームのストーリーはそんな描写が無くとも成立するものである。憶測だが、「製作者の中に天皇崇拝者、戦前美化論者が居る」可能性があると思う。
書店に置いてある本の中には、「天皇家を称賛するようなもの」も結構あるのは事実である。ただ、それらは「天皇家が好きな人しか手に取らない本」であるから、それは別に構わないと考えている。だがこのゲームは「天皇好きだけがプレイするもの」では無い。メガテニストの中には天皇制を嫌う者も確実に居ると分かっていながら(少なくとも私はそうだ)、「天皇家や天皇崇拝を称賛する内容」にしてしまったことは大問題である。
私は、天皇崇拝を賛美する『超力兵団』及び続編の復刻には大反対する。ライドウは好きだけど!