2021年7月27日火曜日

いくら「架空の元号、架空の日本だから」といっても「このゲーム上の日本では植民地支配も侵略戦争もしていない」なんてのはあり得ないよ!

前回の記事より

前回の記事。


この中でこのように書いた。
『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)の時代は架空の1931年の日本であるが(大正二十年という架空の元号になっている)、この時代だと日本は侵略戦争を繰り返して韓国や台湾を植民地にしていた。だが、ゲーム上ではそれについての描写はほとんど無いし、在日韓国人らしい人も出てこない。戦争に関するセリフはいくつかあるものの、「日本が韓国と台湾を侵略して植民地にし、韓国人と台湾人に酷いことをしている」といった具体的な話はほとんど無いに等しい。

この、『超力兵団(Soulless Army)』においては植民地支配も侵略戦争もほとんど描かれていないことについての問題点をさらに掘り下げよう。

「架空の元号、架空の日本だから」といっても…

『超力兵団(Soulless Army)』は、前述のように「1931年の架空の日本を舞台としている。元号も架空の『大正二十年』となっている」設定である。だが、「フィクション作品で、架空の元号の日本が舞台だからといっても、何でも都合良く歴史的事実を書き換えることなど出来ない」ということは強調しておきたい。プレイヤーの中には「このゲームの日本は架空の元号を持つパラレルワールドだから、植民地支配や侵略戦争などしていないのだ」と思う者も居るかも知れないが、それは絶対にあり得ないだろう。
これに関してはこちらのブログでも書いた。


この中から引用しよう。
なお、「このゲーム上では、日本はどこも植民地にしていないのだから、植民地支配に関するセリフは無いのだ」という説は絶対に成立しない。なぜなら、1931年当時の日本があのように近代化して発展した姿なのは、「植民地を踏み台にし、韓国や台湾の人々から搾取していたため」なのだから。日本人だけの力で発展したわけではない。もしも植民地支配が無かったとしたら、このゲームに出てくる「近代化して発展した日本」は存在しないはずだ(ずっと江戸時代のようだったりして…)。

そう、『超力兵団(Soulless Army)』の日本(特に都市部である東京)があのように近代化しているのは、「日本が侵略戦争を繰り返し、日本の植民地にした韓国や台湾の人々から搾取してきたことと、在日韓国人の労働者が日本に存在すること(ゲーム上には出てこないが)」の何よりの証拠である。無論日本人の努力や、「安月給の日本人労働者」からの搾取もあるのは確かだが。もし植民地からの搾取が全く無かった場合は、恐らくこのゲームに出てくる東京には近代的なビルやデパートなどはほとんど無く、江戸時代のような街並みしか見られないのでは。「車」や「路面電車」も無く、「洋服」を着た人もほとんど見かけないかも知れない。

それを踏まえれば、「このゲームの日本は架空の元号を持つパラレルワールドなので、植民地支配や侵略戦争などしていない、だからそれが描かれることは無かった」という、日本にだけ都合のいい設定は完全に否定される。憶測ではあるが、製作者は「ゲームで戦前日本を描くと歴史問題、植民地問題、戦争の問題などで韓国や中国から色々文句を言われるから(私みたいな一部の日本人も言うけど)、あらかじめ『このゲームはフィクションであり、架空の元号を持つパラレルワールドの日本での話です。史実とは関係ありません』としておけば安心だろう」と考えたのかも知れないが、残念だがそれは通用しないんだよ。それを通用させようとするなら、「植民地支配や侵略戦争が無かった場合の日本の街並み」を想像して作らなければいけなかったのだ。

歴史問題を避けるには結局「架空の世界」が舞台なのが一番安全だから…

ここではあえて「日本のRPG(Role-playing game)」に限定して言うが、RPGの世界観を作る時、「全くの架空の世界を描く場合」(ファンタジーRPGによくある。『ドラゴンクエスト(DragonQuest)』や『ファイナルファンタジー(FINAL FANTASY)』など)と、「実際にある国を基にして描く場合」(『女神転生(Megami Tensei)』や『ペルソナ(Persona)』シリーズでよくある)とではやはり違いは出てくるだろう。

特に「特定の国の過去」を描こうとすると、「歴史問題」とぶつかることはどうやっても避けることは出来ない(特に過去の日本)。だから日本のゲームメーカーはクレームを避けるために、RPGを作る場合は「ファンタジーRPG」にすることが多く、『超力兵団(Soulless Army)』のような世界観を持つものは非常に少ないのであろう。

「軍艦島」はこのゲームにも存在するであろう

最近、「軍艦島」のことが話題になっている。この島では、大日本帝国だった時代の日本が朝鮮人・中国人労働者をこき使っていた事実があるが、政府はこれをひた隠しにし、「明治時代の栄光の歴史」としたがっているようだ。だがそのような歴史捏造は批判されて当然であろう。

『超力兵団(Soulless Army)』の世界においても軍艦島は存在するだろう(この時代だとまだ中国人労働者は居ないだろうけど)。ゲーム中に出てくることは無いが、軍艦島の労働者より搾取した利益で発展し東京の街づくりに貢献した企業は存在するだろうから、もし軍艦島が無い世界を描こうとすれば当然街並みも変えなければならない。

何度でも書くが、現在の日本は歴史修正主義や歴史美化(侵略戦争の美化、植民地支配の正当化など)が横行しており、こんな時代には『超力兵団(Soulless Army)』のような「栄光の戦前日本を描くゲーム」は特に右翼からは歓迎されるかも知れないが、それこそが危険なのだよ。だからこそ、今の時代には二度と復活して欲しくない。言っておくが、ライドウは好きだよ? でも好きだからこそ、歴史修正主義の右翼に利用されたくない。

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