2021年7月26日月曜日

植民地支配も侵略戦争も描かずして「軍国主義や全体主義への警告」など描けるはずは無い!

前回の記事より

前回の記事。


この中でこんなことを書いた。
『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2)のプレイヤーの中には、「このゲームは大日本帝国時代の軍国主義や全体主義への警告をテーマにしているから、大日本帝国礼賛ゲームでは無い」と思う人も居るようだが、私はそうは思っていない。

 この理由についてさらに掘り下げたい。


このゲームでは植民地支配も侵略戦争も描かれていない

『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)の時代は架空の1931年の日本であるが(大正二十年という架空の元号になっている)、この時代だと日本は侵略戦争を繰り返して韓国や台湾を植民地にしていた。だが、ゲーム上ではそれについての描写はほとんど無いし、在日韓国人らしい人も出てこない。戦争に関するセリフはいくつかあるものの、「日本が韓国と台湾を侵略して植民地にし、韓国人と台湾人に酷いことをしている」といった具体的な話はほとんど無いに等しい。
だいたい、この事実を描かずしてどうやって「戦争や全体主義・軍国主義への警告」などを描くことが出来ようか? 『超力兵団(Soulless Army)』は戦前日本の侵略戦争及び植民地支配の真実を描こうともしない上、さらに天皇守護組織「超國家機関ヤタガラス」の命令で大正天皇を救ったり、天皇にまつろわぬ者たちを倒して大日本帝国を救わなければならない話だ。その時点で、「どう好意的に解釈しようとも、戦争や軍国主義への警告など描けてはいない。『天皇と日本を護ることは素晴らしい』と言っているようにしか見えない」のである。

特に今は歴史修正主義・嫌韓・嫌中・右翼思想が蔓延しているため…

若干話が変わるが、先ごろの東京オリンピック開会式で、スクウェア・エニックスのゲーム『ドラゴンクエスト(DragonQuest)』(以下『ドラクエ(DQ)』)の曲が使用されたことが一部で問題視されているのはご存じであろうか? 『ドラクエ(DQ)』そのものが問題というより、『ドラクエ(DQ)』の作曲者が歴史修正主義の右翼だから問題視されたのだが、このように今の日本は「歴史修正主義者が作った音楽でも平気でオリンピックの開会式に流せる」異常事態だと思う。つまり、一般層にも歴史修正主義や嫌韓・嫌中、右翼思想が入り込んでいるわけだ(書店でベストセラーになっている本にその手のものが多いことからも伺えるのでは?)。
こんな時代に『超力兵団(Soulless Army)』及び『ライドウ(Raidou)』シリーズを復活させると、製作者の伝えたかったメッセージ(ちなみにゲーム自体のテーマは「パッション(情熱)」である)とは関係無く「天皇家と大日本帝国を護るのは素晴らしい。天皇陛下万歳! 大日本帝国万歳!」というメッセージを感じ取るプレイヤーが続出する恐れがある。だからこそ、私は復活には反対し続ける。