2021年7月10日土曜日

未来の「韓国の歴史教科書」にはもしかすると…

ライドウとヤタガラスがやったのは「戦争と植民地支配を支持すること」だった…

『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)の主人公・ライドウは、天皇を守護する組織「超國家機関ヤタガラス」(以下ヤタガラス)の命令で架空の1931年の帝都を護っているわけだが、『超力兵団(Soulless Army)』の未来ではヤタガラスとライドウがやったことはむしろ否定されなければならない。なぜなら、「帝都を護る」とは「国体(天皇制国家)を護ること」であり、「日本が起こした植民地支配と侵略戦争を肯定する」意味があるからだ。

韓国の教科書ではこう書かれる?

では、『超力兵団(Soulless Army)』の未来(日本の敗戦後)を想像してみよう。韓国で使われる歴史教科書の近現代史ページには、もしかしたらこのように書かれている?

「大日本帝国時代の日本には、超國家機関ヤタガラスという天皇守護組織があった。ヤタガラスに仕えるデビルサマナー・葛葉ライドウは、ヤタガラスの命令で天皇と帝都(日本の首都)を守護していた。その結果、韓国は日本がアジア・太平洋戦争に負けるまでずっと日本の植民地とされて虐げられた。ライドウは韓国人にはひどく恨まれており、今でも恨む人は多い。ヤタガラスは日本の敗戦後に解体され、ライドウの行方を知る者も居ない」

ちなみに、このゲーム上の未来の中国の教科書でも同じように書かれているのかも知れない(中国侵略はこのゲームの時代より後だが)。

2021年7月6日火曜日

歪んだナショナリズムが高まる今の時代には…

オリンピックの方が大事なのか?

延期されていた東京オリンピックも開催されようとしている。感染症の拡大を懸念するならばやる必要の無いものだが、結局開催されてしまうのか。

なぜ感染拡大防止よりもオリンピックが大事なのか? もし今の日本が右傾化していなくて、歪んだナショナリズム(歴史修正主義のネット右翼の言動はまさにそれ)が広まっていなければ、開催されることは無かったのではないか、と思っている。オリンピック自体が政治性とナショナリズムを帯びたものだから。そう、「オリンピックを無事に開催することが日本の誇り」だと政府自身が思っていることは間違いない。

『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(プレイステーション2。以下『超力兵団』)の時代は戦前の日本(架空)なので、愛国主義や日本第一主義が啓蒙されていたのだろうけど、このゲームの世界の場合、そうなったのは天皇守護組織「超國家機関ヤタガラス」が陰に居るからであろう。史実で言えばかつて存在した国教「国家神道」のことだ。それについてはゲーム上で何の指摘も無いが。

歪んだナショナリズム自体はこの日本にずっと存在し続けていたが、戦前・戦中は特にそれが高まった時代だったのだろう。そして歴史修正主義と嫌韓・嫌中が蔓延る今の時代もまた…。

ライドウは好きだけど、『超力兵団』はどうしても復活させたくない、と繰り返し言っているのは、このゲームの時代と同じような歪んだナショナリズムが広がり、本来は開催すべきではないオリンピックが「日本の誇り」の名の下に開催されてしまう今の時代には相応しくないものだから。人によっては「ナショナリズムの高まった今の時代にこそ相応しいゲーム」と映るだろうが、そう思ってしまうことが危険なんだよ。


2021年6月7日月曜日

宗像とスクナヒコナは鳴海たちに「加害者であること」を自覚させようとしたのに…

前回記事をさらに掘り下げる

前回のこの記事。


これについて、もう少し掘り下げてみたい。

宗像とスクナヒコナのセリフ

『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(プレイステーション2)の第伍話の敵将・宗像のセリフの一部を再録する。

宗像「やはり来たか、葛葉ライドウ。海軍…いや国家に利用されし愚かなデビルサマナー。
ライドウよ、お前は知りながら従っているのか? ヤタガラス…、いや、この国家が我らに行なった行為を…。
かつて…、そう遥か古の時代、天より降り立ったという者がいた。その者は己こそ大和の地の支配者と呼び、その地に住む民を征服し始めた。頭を垂れる者を従え…、反抗する者を討ち果たし…、大地を血で染めて作り上げたのがこの日本という国なのだ。(後略)」

第拾話で、宗像の肉体は実は「スクナヒコナ」という国津神に乗っ取られていたことが判明する。スクナヒコナと、主人公・ライドウの仲間である探偵・鳴海とのやり取りの一部を再録する。

スクナヒコナ「帝都百万の民の死滅…、それが超力超神に与えし命。全ての民が罪を噛締(かみし)めながら、悶え、そして死ぬのだ!」
鳴海「…馬鹿な、何千年もの昔の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!」
スクナヒコナ「ヤツらの末裔である事…、産まれ落ちた事が罪なのだ!」
鳴海「そんなムチャな…」
スクナヒコナ「貴様らにはわかるまい。虐(しいた)げられし者の心なぞ…。帝都破壊の前に、貴様らを血祭りに上げてくれる!」

「侵略戦争の加害者」であることを鳴海たちに自覚させようとした…

前回書いたように、宗像とスクナヒコナのセリフは「日本の侵略により日本化された琉球と蝦夷、そして日本の植民地にされた韓国や台湾の人々」の恨みの言葉に見えるわけだが、さらにもう一つ付け加えると、スクナヒコナの「ヤツらの末裔である事…、産まれ落ちた事が罪なのだ!」は、「鳴海やライドウに、『貴様ら大和民は侵略の加害者の末裔だ』ということを自覚させようとしたもの」でもあると思っている。だが結局、鳴海はそれを自覚出来ないので「…馬鹿な、何千年もの昔の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!」と突き放してしまったのだろう。
さらに言うと、宗像とスクナヒコナのセリフは、実は「戦争の歴史を知らずに生きる現代日本人に対する警告」なのだろうと思っている。宗像の「その者は己こそ大和の地の支配者と呼び、その地に住む民を征服し始めた。頭を垂れる者を従え…、反抗する者を討ち果たし…、大地を血で染めて作り上げたのがこの日本という国なのだ」は、「この日本国は、かつて侵略戦争と植民地支配で韓国人や中国人たちを散々痛めつけてきた戦犯らによって作り上げられた血塗られた国なのだ」という意味とも読めるからだ。スクナヒコナの「ヤツらの末裔である事…、産まれ落ちた事が罪なのだ!」も、「日本人として生まれた以上、祖先の犯した戦争犯罪・植民地支配責任から逃れることは決して出来ない」と言っているように見える。
鳴海は、一般的な現代日本人像(または右翼化した日本人)を投影したものだと私は思っている。つまり、韓国人などから「日本人は戦犯の子孫だ」と言われると耐えられなくなって現実逃避してしまう(歴史修正主義に走ってしまう)日本人そのもの。だからこそ「昔のことは俺たちには関係無いことだ、日本に生まれただけで罪だなんてムチャなこと言うな」といったセリフを言えるのだろう。そして前回も述べたように、鳴海の姿は「侵略者の子孫であることを自覚出来ない製作者」そのものだとも思えるのだ。

参照ゲームソフト

  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(プレイステーション2/発売元・アトラス)

参考文献

  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式完全本(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)