2021年4月1日木曜日

製作者は「天皇守護組織を味方とすること」を特別問題視していないように思える

「超國家機関ヤタガラス」は間違いなく「天皇守護組織」である

以前より繰り返し書いているように、『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(アトラス。プレイステーション2。以下『超力兵団』)に登場する味方の組織「超國家機関ヤタガラス」(以下ヤタガラス)とは「大正天皇を守護する組織」である。『超力兵団』の第七話を見れば分かる。たとえ「天皇」、「陛下」とは出てこなくとも、「日本において重要な御方を救え、救わないと許さん」とヤタガラスに命じられることを考えれば理解出来るはずだ(このゲームの舞台は架空の1931年の日本だが、なぜか元号は「大正20年」とされている)。

製作者は「『ヤタガラスが味方であること』を特に問題視しなかった」としか思えない…

このゲームの設定とストーリーは、「天皇家が日本を守護している」ような幻想を好む右翼には好かれるのかも知れない。だが、実際のところは「天皇制は身分差別制度であり、さらに大日本帝国時代においては、隣国に対する侵略戦争と植民地支配の元凶ともなった制度でもある」わけだから、天皇守護組織・ヤタガラスを味方とするのは「差別を受け入れ、日本の悪い歴史を美化する」ものであり、非常に問題がある。特に天皇制廃止論者には徹底的に嫌われるだろう。
だが、製作者は「天皇守護組織が味方であることの何が問題なのか?」としか思わなかったのかも知れない。つまり、「天皇(特に昭和天皇)には戦争責任や植民地問題の責任がある」、「天皇制は差別制度である」とは微塵も思っていない…、だからこの『超力兵団』を出しても問題無いだろうと判断した…とも考えられる。
しかし、「日本の戦争や植民地支配を美化するような歴史修正(改竄)主義思想が、一般にも蔓延ってしまっている」今の日本では、このようなゲームはその傾向をさらに強める危険性があるため、復刻すべきでは無いだろう。