2021年7月11日日曜日

二次創作小説めいたもの・「日本敗戦後のライドウ」

前回記事より

前回の記事。


ここでは、『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)の未来では、韓国の歴史教科書には「十四代目・葛葉ライドウは韓国を苦しめた敵である」と書かれているだろう、といった話をした。
今回はそれを元にして、一種の二次創作短編小説のようなものを書いてみたい。タイトルは「日本敗戦後のライドウ」

小説・日本敗戦後のライドウ

1931年(ここでは架空の「大正20年」となっている)、ライドウの活躍により「超力兵団事件」が終結した後、満州事変が起こる。その後大正天皇は死去し昭和天皇の時代になる(いつ昭和になるかは不明だがここでは1932年あたりとする)。そして天皇と超國家機関ヤタガラス(天皇守護組織。モデルは国家神道。以下ヤタガラス)の命令により日本は「日中戦争」「大東亜戦争」(アジア・太平洋戦争)へと突き進んでゆく。
成人したライドウもまた、徴兵されて戦争へ行くことになる。それが大日本帝国を護ることだとヤタガラスに洗脳されてきたのだから。どこへ行ったかは不明(中国あたりかも)。無論そこでたくさんの敵兵を殺してきた。もしかすると一般人も殺したかも知れない。
そして1945年、沖縄戦が勃発し、日本には二度も原爆が投下され、八月十五日に敗戦となった。大日本帝国は滅び、新たな「日本国」となる。昭和天皇は戦犯なのに、裁判は回避され生き残ってしまった。
ライドウは無事に日本に帰ってくるが、戦後日本にはヤタガラスは存在しなかった。なぜなら、GHQがヤタガラスを発見し、「天皇を神格化するような組織の存在こそが植民地支配と侵略戦争を引き起こしたのだ。存続は認められぬ」として解体を命じたからだ。「葛葉一族」も発見され、解体を命じられたという(ただし「葛葉キョウジ」の祖先だけはひっそりと生き延びていた)。
ライドウは、もはや何を信じればいいのか分からなくなった。
「私が悪魔と共に、大日本帝国のため、天皇のために戦ってきたことがこんな結果をもたらすとは…! 私の使命は人々を脅威から護ることだった…。それなのに、多くの人々を殺してしまった…!」
ライドウはデビルサマナーを引退することを決めた。鳴海探偵社も退社。相棒の黒猫・ゴウトも居なくなった(中身は咎人・初代ライドウなので、ヤタガラス壊滅後に天に召されたのだろう)。ライドウとは名乗らなくなり本名で生活をすることに。ゲーム上では本名は設定されていないので(プレイヤーが決める)、ここでは「元・ライドウ」とする。
元・ライドウは東京を離れ、日本のどこかでごく普通の仕事をして暮らしていた。ある時、気まぐれで韓国へ観光旅行に出かけることを決めた。
韓国の歴史資料館を訪れた元・ライドウは、ある展示室に「過去の自分のこと」が紹介されているのを見つけて衝撃を受ける。そこにはこう書かれていた…。

「デビルサマナー・十四代目葛葉ライドウは、天皇崇拝組織・超國家機関ヤタガラスの命令で大日本帝国と天皇家を守護していた日本人。韓国が『天皇の名の下に』行われた植民地支配で苦しんでいることを知らず、ヤタガラスの味方であり続けた。韓国人からは今も恨まれている。日本の敗戦後、ヤタガラスは崩壊。その後のライドウの行方を知る者は居ない…」

そして周りの韓国人も、「天皇の味方をして、韓国人を苦しめたライドウは許せないよね」、「彼は『日本と天皇を守護するのは韓国を苦しめること』だって知らなかったんだろう」などと言う。
元・ライドウは思う。
「私は韓国人の敵なのか? 確かにそうだ、『天皇の名の下に』行われる植民地支配のことなど教えられなかった。もしそれを知っていたら、韓国人を救うためにヤタガラスを滅ぼしていただろうに…! 私はいったい何てことを…!!」
いっそのこと、韓国人たちに土下座して「私こそがライドウだ、何も知らずにヤタガラスに従って、あなた方を苦しめたことをお詫びしたい」と謝りたかった。だがもし実行しても「あなたがライドウだって? 何を言っているの? ライドウなんてずっと行方不明なんでしょ?」と言われて相手にされないだろう。
日本に帰国した元・ライドウは、どうすれば韓国人にお詫びが出来るのか考えていた。
「そうだ、魂だけ過去に戻り、別の人間に憑依して、かつてヤタガラスに従っていた自分を倒してしまえばいいのだ」
これはただの実現不能な夢想に思える。しかし元デビルサマナーの彼にはその力があった…。「アカラナ回廊」を経由し、魂のみ1931年に戻り、ある人物に憑依した。その人物こそこのゲームのヒロイン・「大道寺伽耶」だった。その時の伽耶は「伽耶に憑きし者」と呼ばれる。
そう、実はあの超力兵団事件は、全て未来から来た十四代目ライドウが引き起こしたもの…。伽耶に憑きし者は「自分はTOKYOミレニアムから来たテンプルナイトだ」とか「ライドウの名を継いだ者」などと言っていたが、それはただの作り話に過ぎないのだ。
伽耶に憑きし者の正体である元・ライドウは、かつての自分と必死で戦った…。だが、かつての自分はあまりにも強く、敵うことは無かった。結局、また戦後日本に戻ってきた元・ライドウ。
「かつての自分を倒せなかった私は、どうやって韓国人に詫びればいいのか?」
苦悩する元・ライドウ。やがて、日本に「歴史修正主義」と「嫌韓」が蔓延る時代に突入する。歴史修正主義者の歴史観では、「ヤタガラスとライドウがやったことは正しい、日本は侵略戦争などしていない、植民地主義は正しかった」となっているらしい…。元・ライドウは危機感を覚え、この歴史修正主義・嫌韓と生涯戦うことが「韓国人へのお詫び」になると考えたのであった。(了)

これの元ネタはこちらで

この小説は、こちらで書いた『超力兵団(Soulless Army)』を私が独自に読み解いた説を参考にして書いた。


こちらでは、今回の小説とは若干違う解釈になっている。私が思う「理想的なエンディング」についても書いてある。

参照ゲームソフト

  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(プレイステーション2/発売元・アトラス。英語版は『Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army』)

参考文献

  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式完全本(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
このエントリーをはてなブックマークに追加